分娩後

妊娠16週〜15週末まで

妊娠中の方たちへ、へ戻る

妊娠4週から15週末

妊娠2週〜3週末

妊娠と薬
放射線

臓器のその後の
発育

授乳の問題

内臓などの大切な臓器が
できる

出生の影響
はでない時期

妊娠中にはとかくいろんなことに過敏になります。
かといって、妊娠中にぜったいこんな病気にならない、といったことはありません。
場合によっては薬の投与が必要となることもあります。ここでは妊娠中のお薬について説明します。

器官成熟期

器官形成期

まず、妊娠のごく初期に関してですが、受精日を妊娠2週0日とすると、妊娠4週未満(受精してから2週間以内です。28日周期の生理の方であれば次回の生理の予定日まで)の間の薬の投与は、どんな種類であっても、あかちゃんの奇形といった形では影響はしません。これをall or noneの法則といいます。
もし、薬による問題がでるとしたら流産という形となり、そのような形をとらない場合は、薬の影響は関係ない次期です。
薬の投与が一番問題となる時期は、妊娠4週から15週くらいといわれています。
この時期は、器官形成期といって、あかちゃんのからだの基本ができあがるもっとも大切な時期です。
そのため、この時期に、薬にかかわらず、ウィルスや環境因子などが作用すると場合によってはあかちゃんに奇形などがおこるとされています。
抗がん剤などはそのひとつではありますが、乾癬、角化症などの治療薬であるエトレチナートなどは男性であれば、服用を中止して半年は避妊、また女性であれば2年は避妊が必要ともいわれています。
他、てんかんやある種の睡眠剤、なども奇形率が上昇するといわれています。
16週以降の薬で問題になるのは、奇形というよりも、あかちゃんに対する毒性が問題となってきます。
(NSAIDSといわれる消炎鎮痛剤やテトラサイクリン、ストレプトマイシンなどの抗生剤、甲状腺の薬など)

いずれにせよ、妊娠中であってもどうしても必要であるお薬もあります。
また、まったくの自然状態でもあかちゃんの異常は3〜5%に出現するといわれています。
もしなんらかの薬をどうしても使わないといけない場合はかならず主治医にきっちり相談し、説明を受けられるのが大切だと考えます。

体の器官を作る最も薬剤やそのほかの因子からの影響をうけやすい時期 もっとも大切

影響がでるとすれば、形の異常でなく、機能的な問題がでる時期

上に、簡単な図を示しました。
複雑に書けばきりがないので、非常に簡単に描いていますが、あかちゃんの体の形成にとって一番大切なのは15週末までの時期です。(もちろん予定日の計算による誤差もでることがあります)
また、出産直前の投与(鎮痛・解熱剤)に気をつけないといけないということもあります。
また、授乳の時期は、基本的には胎盤と同じとしますが、授乳に不適切な薬はその間授乳をいったんとめて薬の種類に応じて対処します。

また、妊娠しているのに気がつかないままX線やCTなどの検査を受けた、あるいは妊娠中であってもそれらの検査が必要な場合。
放射線のあかちゃんに対する影響も、だいたい薬の影響の時期と似ている(もちろん違うところもありますが)と考えてよいでしょう。

放射線があかちゃんの奇形などに影響する最低の値は、100mGyから200mGYといわれています。
言い換えれば、それ以下の値の放射線の量であればあかちゃんの奇形率を上昇させる問題は今のところまずおこらないといわれています。
ちなみに、おなかの単純X線撮影ではあかちゃんが被爆する放射線の量は1.4mGy、腰椎の写真をとっても1.7mGyくらい。おなかのCTでも8mGy 骨盤のCTでも25mGYくらいです。
ここで間違えないでいただきたいのは、これらは、胎児におそらく被爆するであろう線量ということです。
X線検査別の表などの値はこれらよりもずっと多く書いてあると思います。
ただし、表の放射線量は、検査を受ける人自身への線量であり、あかちゃんへの直接の線量ではありません。
(あかちゃんが吸収する被ばく線量の単位をGyと表現しています)

ですので、もちろんしないですむ検査であればしないにこしたことはないかもしれませんが、妊娠に気がつかないで必要な検査を受けられた場合、あるいはどうしても妊娠中にでも必要と考えられる場合は放射線を使う検査を必要以上に心配しすぎずに主治医の先生にゆっくり説明を聞いてみてくださいね。

奇形は問題とならない時期(all or none)